「THE MANZAI」を読んで

 わたしは夏休みに「THE MANZAI」という本を読みました。この本の内容は、題名の通り、まんざい・お笑い系の本です。お笑い系の話といっても実際、本の中がお笑いでぎっしり、というわけでもなく、普通の中学生の話です。主人公は瀬田歩(あゆむ)、副主人公は秋本貴史。まず始まり方、というのは歩の父と姉が亡くなる、というところからで、歩の転校先だった中学がお笑いの舞台です。
 はじめに、「おおっ、おもしろい!!」と思ったところは、貴史が歩に「お付き合い」を申し込んだことです。もちろん、二人とも男で。その時、歩は気が動転します。…わたしも同性にそんな事、言われたら、気が動転します。
 しかし、その時、貴史が言った「お付き合い」は、歩にいわせるとそんなに色っぽいものではなく、お笑いコンビの「お付き合い」でした。ただし、歩の場合、コンビを組む、という事でも動転してしまいます。…多分ですが、私の場合、「速攻で」断わり、逃げると思います。お笑いは、するより見る方が楽しいので。
 しかし、歩が、気が動転し断ったにもかかわらず、隆史は歩にアタックを続けます。歩はついつい隆史のペースに乗せられてしまいます。…無視すればいいのに。そのパターンがあるたび、わたしは心の中に、「ツッコミ」を入れます。
 そして、歩は貴史の猛烈アタック(?)のせいで、学園祭で「ロミオとジュリエット」をやってしまいます。ロミオが貴史で、歩がジュリエットです。…私の場合、ロミオもジュリエットも、どちらも死んでもやりたくありません。
 二巻では、学園祭の「ロミオとジュリエット」の事について、校長先生のおもしろいお怒りの言葉が書かれています。きっかり三十二分の説教があり、「中学生らしく」が七回、「節度を守って」が三回、「調子に乗りすぎて」がしつこい二回半。
 …こんな同じことがしつこく何回も何回も言われたら、わたしは絶対、校長室に近づかなくなると思います。だって、嫌だから。そんな事を思わない歩と貴史を初めてほめました。コンビなんか組まなくても、君たちMANZAIできるよ、と、いつも楽しく読みました。
The MANZAI (カラフル文庫)あさのあつこ著、岩崎書店