生徒作品

野村花火

育英ポートワシントン校
華盛頓港中学一年新聞☆中学部通信から
平成19年(2007)12月10日(月)号


生徒作品
俳句
 黒い空 花火が上がる 夏の夜  一年 RO


読書感想文
 「非・バランス」を読んで  二年 HS

 私は友だちがいなくなったら、どうするだろう?
 この本を読んで、先ずそう考えました。主人公の十川深澄(とがわますみ)は、お嬢様中学校に通っていましたが、友達と呼べる人はたった一人しかいませんでした。しかし、その友達は彼女を捨てて他のグループに行ってしまい、深澄はおとなしい性格のせいか、他に友達ができませんでした。
 深澄は私と同じように一人っ子です。でも彼女は親にお金を渡されているだけで、放っておかれています。小さい頃から毎晩コンビ二の食べ物やファーストフードを食べている深澄はかわいそうだと思います。お母さんやお父さんが作ってくれるご飯は愛情がこもっていて、とてもおいしいはずなのに、深澄はそれを食べたことが無いからです。深澄が唯一、親と一緒に晩御飯を食べたのは、親の仕事のパーティに出されていた寿司の出前の残りでした。
 ある日、深澄は、タイのバンコクから来たチュアンチャイという一人の女の子に出会いました。その子は、深澄の財布を拾ってくれたのがきっかけで仲良くなりました。少し片言でも、やっと深澄と話ができる相手が出来て、私はほっとしました。しかし、チュアンチャイは十三歳なのに、中学校に行っていませんでした。しかも、お父さんはチュアンチャイとお母さんと離れてくらしながら仕事をしていました。私は、チュアンチャイだったら、一日中家にお母さんといるのはとても暇だと思いました。
 深澄がチュアンチャイのアパートに遊びに行くと、チュアンチャイのお母さんは咳をして、よく寝込んでいました。チュアンチャイは風邪だとしか言いませんでした。チュアンチャイは、一緒にお父さんに会いに行こう、と深澄に話しました。私もチュアンチャイだったら一緒に会いに行こうとしたと思います。友達のためだからです。深澄は少し不安に思いましたが、会いに行けばチュアンチャイのお母さんについて相談できると思いました。しかし実際に行ってみると、チュアンチャイのお父さんは働いていたはずの会社にいませんでした。会社の事務所の人の話によれば、チュアンチャイのお父さんは家族を捨てて逃げたらしい、ということが分かりました。
 深澄は帰宅してから、どうやってチュアンチャイのお母さんのために診察費と治療代のお金を稼ぐか考えていました。深澄は自分を構ってくれない母親を恨んでいたので、母親のお金を盗むことにしました。母親の大事な仕事のファイルを「人質」にして、その「身代金」を朝七時に郵便ポストの上に置け、と言いました。私が深澄だったら、そんなひどいやり方ではお金を要求しないと思います。でも、私もチュアンチャイみたいにお母さんとお父さんにいつもお金だけ貰って勝手にしろ、といわれていたら、仕返しとして同じ行動をとっていたかもしれません。深澄は、郵便ポストからお金を盗ったチュアンチャイに、早く逃げてと言いました。チュアンチャイは少しおびえていましたが、深澄の言うように自分の家に逃げました。深澄の親は二人ともお金を取り戻そうとポストの上に置いたお金の行方を見ていました。深澄のお父さんは、深澄を家へ連れて帰り説教しようとしましたが、深澄は親から逃げて、チュアンチャイの家の近くで夕方まで帰りを待っていました。チュアンチャイがやっと戻ってきて、彼女のお母さんが入院したと聞きました。
 深澄は恐る恐る家へ戻りました。次の日、学校から帰ったら、チュアンチャイから電話がありました。チュアンチャイのお母さんが死んだと知りました。私はチュアンチャイがとてもかわいそうだと思いました。お父さんがどこにいるか分からないし、お母さんも死んでしまったし…。私だったらどうしたらいいか分からない状態だったと思います。深澄はびっくりし、家から飛び出しました。チュアンチャイのアパートの前へ着くと、彼女はフェンスを乗り越えて自殺をしようとしていました。深澄は助けようとしましたが、一緒に落ちてしまいました。
 深澄は起きると、病院の中でした。ずっと付き添っていた母と、今まで話せなかったことを、二人で色々話せてよかったと思います。でも、チュアンチャイの状態が知りたかった深澄は、チュアンチャイの精神状態が良くない事を知り、会いたくても会えませんでした。
 五日後、深澄は退院しました。家に帰ると、在日外国人を支援するNPOの団体から電話が来ました。チュアンチャイが明日バンコクに帰るから飛行場に来て頂けませんか、と聞かれました。私もいきなり親友が母国に帰ると言われたら、深澄のようにびっくりしていたと思います。
 次の日、深澄が飛行場に行ったら、チュアンチャイは髪を切り、すっかり変わっていました。チュアンチャイともう二度と会わない可能性を考えてみれば、母国に帰る前に会えて、さよならが言えてよかったと思います。
 深澄とチュアンチャイは言葉が通じなかった部分もあったけれど、二人はお互い、唯一の友達でした。もう二度と会わないかもしれないけれど、チュアンチャイと深澄はお互いを忘れずに、心の中でずっと友達でいられると思います。
非・バランス魚住直子作、講談社


詩 夏を感じる 三年 SK
 
眩しく輝く太陽の下で、
ザザー ‥‥‥
という波の音を聞きながら
海辺の砂を掴む
すると砂は指の間から流れ、
手の中で温かさが残る


窓から入ってくる
涼しい風を感じて
透き通るような
青い空を見ながら
真っ赤なすいかを食べる
あまりのおいしさに、
思わず笑顔が生まれる


そんな時に夏の幸せを感じる


(写真は野村花火工業)