ティーンエイジ

ティーンエイジ

育英ポートワシントン校
華盛頓港中学新聞 中学部通信13(2)
平成20年(2008)6月29日(土)号


『Teen Age』を読んで 三年 RT
 私は春休みに『Teen Age』という本を読みました。この本には、日本で人気の(ということらしい)七人の作家が書いた小説が入っています。この本のタイトル通り、十代の少年少女の心情が書かれた話、アンソロジーです。
 私がこの本の中でも特に好きだった話は島本理生さんの「Inside」という小説です。この小説の主人公は高校生の一般女子で、彼女の恋愛事情と親の離婚話が題材となっています。私が思うに、この小説では、この少女に対する愛情の話だと思います。彼女の母親が旅行から帰宅し、入院したところから始まり、親が離婚することで話の幕は閉められました。母親が入院している時に、家事ややるべき事をしっかりとこなす主人公を見習わなければと思う一方で、私が興味を持ったのは彼女の彼氏の方でした。よく、漫画やドラマでよく見かける彼氏というのは、「そのような関係になったが、相手のことに対して、深く踏み込んでいない、深い関係を作ろうとしない」男の子でした。けれどこの話に登場する彼氏は、彼女の事をしっかりと考え、受け止め、何に対しても無理を強いなく、穏やかな性格でした。彼の彼女、主人公の母親が入院していると知った時の彼は、まるで自分の親のように心配していて、心がとても優しく、彼女思いということが分かりました。
 対して、私は親に対し腹が立ちました。母親の方は病気で入院したのですから、別に腹が立つなんてことはありませんでした。しかし父親といったら、妻が入院しているのにも関わらず、仕事が忙しいと言ってろくに病院に顔を見せず、自身の部屋の本棚には他の女性からのクリスマスカードを大事にしまってあるなんて、とても許せることではありません。家族の大黒柱の父親がそんなのでどうするのだと思いました。そして最終的には他の女のところへ行ってしまう父親を私は許せません。
 青い春と書いて青春。私たち中学生はまだこれからたくさん「青春だ!」と思えることがあります。その中には楽しいことも悲しいこともたくさんあります。でもそこで決してくじけずに、真っ直ぐ前を向いて、10代という道を歩いて行くのです。それが青春というのではないでしょうか。
(『Teen Age(ティーンエイジ)』 角田光代瀬尾まいこ藤野千夜・椰月美智子・野中ともそ・島本理生川上弘美著、双葉社



俳句
  寺清水 西瓜も見えす 秋老いぬ   正岡子規 
 正岡子規の故郷、愛媛県松山市薬師寺には清水(しみず)が湧(わ)き、夏には西瓜を冷やしていた。それをなつかしんで読んだ俳句といわれる。