読み教材としての学級通信(2)


2、作成過程

(1)継承語教材のベンチマーク
 NECTJの継承語教材のベンチマークがどんなものであるかは、今までの発表で皆さんに知っていただいたとおりです。ナショナルスタンダードの5つのC(右上の絵。ACTFL)と、もう一つのCからなっていますが、私は先ず、この6つのCに基づいて、それぞれ、つぎのように書く分野を決めました。<資料1>

 <1>Communication、これは「ことばの理解を深める読み物」としました。
 <2>Cultures、これは「文化の勉強になる読み物」としました。「文化」とは「日本文化および比較文化に関すること」としました。同様に
 <3>Connectionsは「科目の勉強に役立つ読み物」
 <4>Comparisonsは「日本語と英語の対照ができる読み物」
 <5>Communitiesは「地域に対する理解と貢献ができる読み物」
そして最後の
 <6>Commitmentsは「自ら評価し、学習を続ける態度を養う読み物」としました。


(2)作例

 そうして、出来たのが<資料2>の学級通信です。<資料2>は作成基準別のリストと各作成基準から1点ずつの例(コピー)からなります。なお、一部個人名は伏字にしてあります。


 <1>Communication‥‥ことばの理解を深める読み物。
  ※ヨンさま  http://d.hatena.ne.jp/kokuda/20060121
  「科学」の授業の予習をする週だったので、日本語の科学用語と、その根幹である漢字への興味をもっと持ってもらおうと、漢字のおもしろさ・効用を「ヨンさま」を題材に書きました。
 <2>Cultures‥‥文化の勉強になる読み物
  二月は赤色  http://d.hatena.ne.jp/kokuda/20060218
  旧正月の赤とバレンタインデーの赤が織りなす、多文化都市ニューヨークの二月。アメリカで迎える日本人のバレンタインデーは日本式かアメリカ式か、まさに多文化社会の真っ只中に起こる「大問題」を正面から取り上げました。
 <3>Connections‥‥科目の勉強に役立つ読み物
  たまごの立つ話  http://d.hatena.ne.jp/kokuda/20060128
  節分を前に、「節分にはたまごが立つ」という俗説を科学的に否定した中谷宇吉郎と、「不可能に見えることでも、やればできることがあるから、やってみることが科学なんだ」という中谷先生のメッセージを紹介しました。
 <4>Comparisons‥‥日本語と英語の対照ができる読み物
  ※ライト兄弟 http://d.hatena.ne.jp/kokuda/20060701
  前の週に「航空レクチャー」があったので、英語と日本語とを対照するいい機会だと思って、書きました。ライト兄弟がなぜ、鳥のようにとぶ機械を「Flyer」と名づけたか、「とぶ」に関係のある英語と日本語を対照言語学的に取り上げました。
 <5>Communities‥‥地域に対する理解と貢献ができる読み物
  ※青い目の人形  http://d.hatena.ne.jp/kokuda/20071117
  ひなまつりを前に、昭和2年(1927)のひなまつりに行われた大規模な日米の人形交流を振り返りました。その時アメリカ各地に贈られた市松人形のうち、ニューヨーク市に贈られた「ミス東京市」が、まだ行方不明です。探していますので、ご協力下さい。(下の絵参照)
 <6>Commitments‥‥自ら評価し、学習を続ける態度を養う読み物
  ※つくしとり http://d.hatena.ne.jp/kokuda/20060415
  「つくしとり」をふりかえって、道が遠くてもがんばって行けば大きな収穫があり、しかもその道には楽しいことがたくさんあることを書き、生徒の学習意欲を促したいと思いました。
(続く)→ http://d.hatena.ne.jp/kokuda/20080719


1回目にもどる→ http://d.hatena.ne.jp/kokuda/20080705



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