読み教材としての学級通信(3)

 いかがでしょうか。作成基準に合っていたでしょうか。中学生が興味を持つ内容と書き方になっていたでしょうか。
 実際に書いてみて分かったのですが、この作成基準の1つの項目に1対1であてはめて文を書くことは難しく、その時に合う生徒の興味と担任からのメッセージを考慮すると、ふつう、いくつかの作成基準をまたがるものだということが分かりました。
 たとえば、Communicationのもう一つの例ですが、「へえ‥こんなことばも雅楽から」の場合、雅楽(写真)というCulture、歴史の学習とのConnections、英語ではなんと言うのだろうかと想起すればComparisons、こんな事をする人がニューヨークにもいるんだという意味でCommunities、さらに学習意欲の向上もねらっていますからCommitments、と全ての分野にかかわっています。それでも、「主として何か」ということを考慮して、ベンチマークから外れていなければそれでよしとして作文を続けました。
(へえ‥こんなことばも雅楽から→ http://d.hatena.ne.jp/kokuda/20051216


3、学級通信で学習できること

 そうして学級通信は書かれてきましたが、『学級通信』で日本語の何が学習できているのか、現在までの例から見ていきたいと思います。

(1)「きょうの学習と宿題」簡略法と箇条書き。
 これは最初に申し上げました。「〜」「p」などの記号の使い方もここで習い、限られたスペースで多くの情報を伝達する書き方を学習します。

(2)恒例の夏祭り‥http://d.hatena.ne.jp/kokuda/20060602
 ここでは、予告・図表・ニュース・お願いの書き方を学習します。<保護者の皆様>では敬語を使っています。生徒は、自分たちへの書き方とずいぶん違っていることに気がつき、敬語の実際の使い方も学習します。

(3)ことば、7月生まれ‥http://d.hatena.ne.jp/kokuda/20060709
 毎月、その月に誕生日を迎える人を紹介していますが、この月は該当者がありませんでした。有名なことばを残している人がいたので、そのことばを紹介しました。英語のほうは「日本語ではこういう」という勉強になるし、日本語のほうは古典的な言いかたに慣れ、のちの古文の学習にも結びつきます。人物紹介では有名外国人の日本語での言い方(カタカナでの表し方)を学習します。ベンチマークのComparisonsに合う文が比較的入れにくく、数えるほどしか書けなかったのを、こうすることで補っています。

(4)土俵の真ん中で‥http://d.hatena.ne.jp/kokuda/20060408
 学級通信は担任の息づかいを伝えたいので、書き下ろしが原則ですが、ほかの人の文を引用することもあります。これは、他の教師が以前、ご自身の学級通信で使っていたものです。私以外の人の文が読めるし、他の教師とも連絡が取れているというメッセージを送ることもできました。

(この章のまとめ)
 以上が、教材としての私の『学級通信』ですが、シラバスとしては、年間を通じての「場面シラバス」で成り立っています。ともすれば、ばらばらになりがちな「場面シラバス」ですが、継承語教材のベンチマークに添って書く事によって、一本の筋が通ったものになったように思いますが、いかがでしょうか。
(続く)→ http://d.hatena.ne.jp/kokuda/20080726

日本の楽器(10)?雅楽?
1回目にもどる→ http://d.hatena.ne.jp/kokuda/20080705



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