あじさいを愛した人


 アメリカのあじさいはたくましいですね。雨がふらなくても、枯れ枝のような幹から、緑の芽をだして、大きなボールのような花をさかせます。
 このあじさい、万葉集にも歌われている日本原産の花で、江戸時代に世界に紹介されました。紹介した人は1823年から28年まで長崎にいた医者のシーボルト。オランダ商館長の一行と江戸に行ったり、医学塾を開いたり、積極的に日本人と交流しました。ところが、収集品に禁制の日本地図があったので、日本から追放されます。帰国後、『日本』全7巻をあらわしましたが、今日でもこれをこえるものがいくつあるだろうか、という第一級の日本研究です。
 シーボルトは日本にいる時、それまで見たこともない美しい花を発見して、その花に長崎で出会った、いとしい人の名前をつけます。あじさいの旧学名Hydrangea macrophylla Seringe var.otakusa(ハイドランジア・マクロフィア・ヴァル・オタクサ)はシーボルトの愛した「お滝さん(楠本滝)」にちなみます。
 また、生涯、お滝さんとお滝さんの住む日本を愛しつづけ、開国を迫っていたアメリカのペリーや、ロシアの皇帝に、強硬に攻めないで待つ態度で接するよう、すすめたそうです。シーボルトとお滝さんの愛は、大きな愛になっていきました。
 みなさんはアメリカで育つあじさいです。みなさんのすぐそばに大きな愛があるように思いますが、いかがでしょうか。
(絵はシーボルト『日本植物誌』に描かれたあじさい)
 オランダ商館があった出島(現地に作られた模型)


<今日の学習と宿題>
(省略)


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