零下196度の高温

 ニューヨークが、摂氏38,9度(38,9℃=華氏102度)という50年ぶりの猛暑にみまわれた8月の最初の週に、日本の新聞で「高温超電導」ということばに出会いました。暑い時だったので、どれだけ熱いのかと、よく読んだら、なんと零下196度!。水がこおる零度より196度も冷たくて、なんで「高温」なんだ、と思って何度も記事を読みなおしました。
 すべてのものがこおる絶対零度(零下273度)になると、電気抵抗がゼロになります。このことを「超電導」(超伝導)といいます。電気は電線を伝わって来ますが、電線の電気抵抗のために大量の電気が、使われる前にうしなわれます。かねて超電導の研究をしていた日本の住友電工が、零下196度で電線の電気抵抗をゼロにする「高温超伝導ケーブル」を実用化し、7月20日から、ニューヨークの州都アルバニーの実用区間に使われだしたというニュースでした。絶対零度にするには1リットル1000〜1500円の液体ヘリウムが必要ですが、零下196度だと、1リットル50円の液体窒素(ちっそ)でいいそうです。経済的で将来が見込める新技術です。
 ことばを勉強していると「干渉」ということがおこります。干渉とは「じゃまをする」ということで、「英語ばかり使っていると、日本語がおかしくなる」というのも「干渉」です。たとえば、「暑さ」は「きびしい」のか、「はげしい」のか、「つよい」のか‥‥、「スゴイ」を何にでも使う人がいますが、「スゴイ暑さ」、いけそうですね。でも、「スゴイ」は便利すぎて思考が停止します。「スゴイ」を使わないで、日本語の感覚をみがきたいものです。
 気になる「零下196度の高温」ですが、調べると、1986年に「高温超電導」が発見されてから、もう20年も使われています。たしかに零下196度は零下273度とくらべると、77度も「高温」なのですが‥。電気抵抗はゼロになっても、「日本語抵抗」はゼロではありません。
(写真はアルバニーで使われている高温超電導ケーブル)


<夏休みの宿題>
(省略)

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