天高く馬肥ゆる秋の道


 ロングアイランド鉄道がポートワシントンに近づくにつれて、少しずつ建物が低くなり、木立がふえてきます。そしてナッソー郡に入ったとたんに、空が急に高くなったように景色が一変します。「天たかく馬こゆる秋」はニューヨークにもあるんだ、と思う瞬間です。
 この「天高く馬肥ゆ」は唐の詩人、杜審言(としんげん)が北方国境でたたかう友人におくった「雲浄妖星落 秋高塞馬肥」(くも、きよくして妖星おち、あき、たかくして塞馬こゆ)という詩から来ています。
 中国最初の大帝国は紀元前221年の秦で、北方の満州人や蒙古(モンゴル)人などと対するまで領土を広げました。この北方の民族は、馬の行けるところまでが生活の場所です。みのりの秋には、馬もたっぷり太って活発になり、北までのびた中国の国境をこえて国をおびやかします。それで、中国人からは「匈奴(きょうど)」というありがたくない名前でよばれてきました。
 秦は「万里の長城」を作って、「匈奴」に対抗しました。長城は、その後も、政権が中国人の手に入るたびに、中国人最後の王朝である明(1368-1613)まで、作られつづけました。

‥そんなことは遠い世界のこと、と、電車をおります。そして、すみきった空と色づいた木々をあおぎながら、足元に広がる紅葉をふんで、みんなの作った秋の詩を思いうかべます。
(写真は、ナッソー郡の入り口、リトルネック湾smugmug)


ムーラン (日本語版) ― オリジナル・サウンドトラック匈奴」とたたかう「木蘭」の伝説をディズニーが映画にした「ムーラン」



<今週の学習と宿題>
(省略)


お知らせ
休園‥来週11月25日は休園日です。次の授業日は12月2日です。
代講‥数学のMF先生は1月第1週まで休まれます。
    CY先生が代講されます。