Z項からカーナビまで

 空気の入ったまるいボールを4つ重ねます。このボールは通りぬける事ができる不思議なボールです。2つのボールの交わる所は円周になります。そこへもう1つ横からボールを重ねると、3つのボールの重なる所は2つの点だけになります。そこに4つめのボールを重ねようとすると、2つの点のどちらかに重ねるしかありません。ボールの1つを地球にして、あとの3つを3つの人工衛星からの距離と考えると、人工衛星を使って地球上の1点が確定できます。これがカーナビの基本のGPS(Global Positioning System全地球測位システム)です。
 今から百年以上も前、北極点が毎日微妙に動いているのではないかという疑問が持たれ、北半球の6点から天体の観測を通して北極点の位置を正確に調べることになりました。その6点の1つとして日本の岩手県水沢に緯度観測所ができました。みんなが、4月11日の特別授業で習った木村栄(ひさし)は、ここで25年間1日も休まず地道な観測を続けました。
 観測結果が集められると、「水沢の観測が一番正確でない」と言われました。ところが、木村栄が正確に観測すればするほど、X項とY項の2つの項を使った緯度計算の式に合わなくなるのでした。やがて、長い観察と研究のすえ、第3の項があることに気づいて計算すると、北極の位置と観測値がぴったり合いました。「間違い」と言われたものは、実は正確な観測の結果だったのです。第3の項は「Z項」と名付けられました。「Z項」の発見は、天文学だけにとどまらず、広い分野に影響を与えました。世界中の経緯度も修正され、より正確な地図が作られるようになりました。GPSもその成果の上にあります。
 今、みんなが「間違いだ」と思っている中にも正しいものがあるはずです。「正しい」と言われている事でも本当は間違っているかもしれません。それを発見できるのは毎日続けた地道な努力からだと、木村栄は教えてくれています。
 なお、ポートワシントンの経緯度は北緯40度83分、西経73度7分です。参考までに。
(写真は緯度観測所創立五十年記念切手(1949))


今日の行事  育英オリンピック
 今週(9日)と来週(16日)、次の時間割で育英オリンピックがあります。今日は「走り幅跳び」です。中三から中一まで2回ずつ跳んで、いいほうを記録とします。育英オリンピックは授業です。先生と体育委員の誘導にしたがって整然と行動しましょう。
(時間割省略)



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