読み方の秘密

 学年末が見えてくると、試験が増えてきます。試験を出す先生はみんな「教科書をよく読んでおくように。」とおっしゃいます。では、どう読んだらいいのでしょうか。
 実は、日本の教科書には科目によって、読み方の秘密がかくされています。国語の教科書は、その作品を作った人がどんな考えで書いたのか、登場人物のその時の気持ちはどうなのか、うまく推測できるように教材が選ばれています。ですから、物語や詩歌がたくさん入っています。お菓子・料理のレシピやゲーム攻略本などに多い「実用的な文」はほとんど入っていません。「ニュース」が入っていることもありますが、事実の確認より、そのことで起こった気持ちや背景が大切にされます。国語の時間には情緒を把握する読みかたが求められているのです。
 では、実用的な国語はどこで習うのでしょうか。それは、数学や理科の教科書を読むことで勉強します。数学や科学では書いた人の気持ちなど、ほとんど考えません。そこに書いてある情報を、読んだ人が身につけられるかどうかが問題です。ですから、練習問題をたくさん解いたり、実験をやって体験したりして、情報を自分のものにしていきます。教科書の字句を憶えるより、教科書に書いてある情報を正確に読み取ることが求められています。
 情緒を把握したり、情報を正確に読み取ったりするには、自分を無にする必要があります。二人で話をする時、自分を前に出せば、相手の気持ちや相手の言いたい事が分からなくなるのと同じです。でも、話を聞く自分を消すことは出来ません。また、話は話す人だけではできません。聞く人がいてこそ話が成り立つのですから、話すほうは聞くほうの立場に立った話し方をし、聞くほうは話すほうの立場に立った聞き方をすれば、話がよく分かるようになります。一つの出来事でも、立場・見かたを変えれば、いろいろに見る事が出来ます。商行為の「買う」と「売る」は同じ行為を立場を変えて見たことばです。この「視点を変える」読み方は社会科で学習します。
 科目ごとの読み方の「秘密」を頭のすみっこにおいて、試験勉強の役に立ててください。


(写真は教科書「国語1」光村図書出版

今週の宿題
 (省略)


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