つくしとり

 ぼくが生まれ育った町の東の山は、孟宗竹(もうそちく)でおおわれた「たけのこ山」でした。はれの日に、遠くの山がかすみはじめると、ときおり、なまぐさい竹の芽のにおいが風に乗っておりてきて、春を告げます。田んぼの土がレンゲソウの葉の緑でおおわれてくると、バス停の横に、たけのこ市(いち)が立ち、学校が始まります。
 からっぽだった溜池(ためいけ)に水が入り、岸にタンポポやスミレソウがさくと、日曜日を待っていた祖母は、孫を集めて、土筆採り(つくしとり)に出かけます。土筆は近くにも生えていますが、東の山のむこうに、足のふみばも無いほど生えている秘蔵の地があるので、そこまで行って採(と)るのです。
 行くまでの道がよかった。無限に生えるたんぽぽを採って、女の子は首かざりなどを作りますが、男は、たんぽぽ切りです。たんぽぽ切りは、たんぽぽの花を一本づつ手に持って、花の首どうしをぶつけて切りあう格闘技です。強いたんぽぽを見わける観察力と、自分の首は落とさず相手の首だけを落とす技術力のたたかいです。勝つには、日ごろの鍛錬がものをいいます。それから、坂道を走ったり、レンゲソウのあまい蜜をすったり、小川に入って足をぬらしたり‥‥。
 遠くまで行けば大きな収穫があり、行く道にも楽しいことがいっぱいある土筆採りが大好きでした。そんな1年をみなさんと過ごすことができれば、最高です。
(つくしとりの道は、写真上の川の左側の小道を川ぞいに上って行く。「AGUA]から)


来週22日とさ来週29日に「全国標準学力テスト」と「科学」の授業があります。


<今日の学習と宿題>
(省略)

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