最初の米

 日本では、5月の連休のころに田んぼをたがやして、苗代(なわしろ)を作ると、今頃はわずかに芽が出始める頃でしょうか。あと10日もたてば、はえそろって、緑の絨毯(じゅうたん)が水に浮かんでいるような景色があちこちの田んぼで見られます。(写真はmakimasime)
 この苗代づくり。苗床(なえどこ)に肥料をたっぷり埋めて、すずめが食べないように消毒薬をまぶした種籾(たねもみ)をまきます。その上にうすく土をかぶせて、去年の籾殻(すりぬか=もみがら)を炭にした燻炭(くんたん)を敷きつめます。まっ黒な苗床から、数えきれない黄緑色の芽が、1本1本、スッとまっすぐ、針のように伸びて水に映える姿はほんとうに美しいものでした。
 この燻炭(くんたん)をはじめ、米づくりでは、カスであるはずの藁(わら)や籾殻(すりぬか)をまったく捨てずに使います。去年のわらで苗をたばね、去年のわらで稲もたばねます。それから、敷物にしたり、燃料にしたり‥。新しいわらができるまで、去年のわらは活躍します。
 わらは貴重な資源で、ぬれてだめにならないように、田んぼのまん中に、家のような形に組んで保存します。わらの組み方は地方によって違いますが、「大切な資源を役立てる」という心は同じです。かつては、農家で使う縄、米を入れる俵(たわら)、籾(もみ)を入れる「ふご」、もみをこぼさないように敷く「むしろ」も、はきものもわらで作りました。あまった物や使えない物は、土に鋤(す)きこんで、来年の米のこやしにします。
 農作業を手伝いながら、子供心にふと思いました。これだけ去年の物を使って米を作っているが、いったい、去年の物のない最初の米はどうやって作ったのだろうか‥‥と。



<今日の学習と宿題>
(省略)

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