世界の中心ではなかったけれど

 先週の7月7日、ニュージャージー州ハッケンサックで「安藤美姫と友だち」のアイスショーを見る機会が舞いこんできました。安藤美姫はみんなも知っているように、今年3月の世界選手権東京大会で優勝した、世界一のフィギュアスケータです。
 フィギュアスケートといえば、昭和67年(1992)のアルベールビルオリンピックで伊藤みどり選手が銀メダルを取った時、「すみません」と言ったことが忘れられません。伊藤選手は、それまで日本のだれもが取れなかった銀メダルを取って、フィギュアスケートを今のように、技と表現力を競うスポーツに変えた先覚者でした。けっして「すみません」といわなければならない人ではありません。「すみません」は、金メダルを期待していた日本人への返事だったのです。
 公演前の安藤選手に会うこともできました。いろいろな話の中で、「世界選手権に優勝して日本でビッグスターになった感はあります。けれどもプレッシャーはありません。自分も努力しなければならないと思うだけです。」ということばが心に残りました。安藤選手は、去年のトリノオリンピックで思うように実力が出せなかったころ、よく「楽しんでする」と言っていたような気がします。あのころは「すみません」も言えず、ほんとうは、とても苦しかったのではないかと思います。それから一年あまり、今は、自分の努力をかくそうともしません。
 僕は中一のみんなの顔を思い浮かべながら、きいてみました。「ここに暮らす日本の子供たちにひとこと、お願いします。」。安藤選手はしばらく考えて、「自分のやりたいこと、興味のもてることを見つけて、それに集中して、続けてほしい。」と言いました。フィギュアスケートのアイドル、ミキティも、日本から遠くはなれたアメリカで、一つの目標に向かって黙々と努力している19歳だったのです。思わず、「がんばれ安藤さん。がんばれ中一。」と心の中で叫びました。世界の中心ではなかったけれど‥‥。
(写真はeoiglobal.com)
当日の様子→http://www.yomitime.com/hito/69_ando.html


<夏休みの宿題>
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