障がい者

 学校の漢字テストでは「障害者」が正しい書き方で、他の書き方はまちがいです。ところが、「障害者」と漢字で書くと「害虫」や「災害」を思い出すからといって、ひらがなで書く所が出てきているそうです。
 「障害」という書き方は、アメリカ占領下の昭和22年(1946)に決められた「当用漢字表」に「障碍」の「碍」が入っていなかったので、勝手に作られた書き方です。本来の「碍」は「さしつかえる」という意味の漢字で、「害」とは音が同じという以外、何の関係もありません。
 「当用漢字表」1850字は、漢字を撲滅するために「当面使ってもいい漢字」として、たいした根拠もなしに決められましたが、漢字制限という大きな「害」をおよぼしたあげく、昭和56年(1981)に廃止されました。あらたに作られた「常用漢字表」は「科学・技術・芸術等の各種専門分野や個々人の漢字使用にまで立ち入ろうとするものではなく、従来の文献などに用いられている漢字を否定するものではない。」としました。
 「障害者」の解決法は簡単です。もとの「障碍者」にもどせばいいのです。「碍」ってそんなに難しい漢字ではないし、このごろは名前などに難しい漢字を使う人が多いから、そんなに「さしつかえ」があるとは思えません。
 夏休み中、政府の教育再生会議という所で、30年ぶりに、小中学校の授業時間を増やして、憶えることを多くするという報告が出ました。時代は、「もっと勉強しなければ」に動いています。この動きとも逆行する「障がい者」という書き方。漢字を一つ憶えなくてすむという目先の利益はあるようですが、「害虫」や「災害」は漢字、「障がい者」はひらがな、陸上競技の「障害物競走」はどうするか? 区別して憶えなければならないとしたら、かえってめんどうだと思いますが…。(絵はsozaihodai)


<今週の学習と宿題>
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