水に溶け合う

 聖徳太子の「十七条の憲法」の第一は「和(わ)をもって貴(とうと)しとなし、さからうことなきを宗(むね)とせよ。」で始まります。
 私たちの民族の祖先は恵まれた自然の中で、木の実や魚を取ったり、狩りをして暮らしながら、稲作などの農業も始めました。「縄文時代」とよばれるこの時代は約1万年続きました。そのあと、紀元前3世紀ごろから始まる「弥生時代」は新しい農業の時代でした。農業は同じ時にみんなが力を合わせないとできません。争いをすると農地は荒れ、一年に一回しかできない農作物を一瞬に台無しにしてしまいます。
 このころ、「国」らしきものが日本に生まれてきます。そして6世紀後半に聖徳太子が登場するころには、隋に使いを出せるほどの国になっていました。聖徳太子は、「争っていてはいけない」と、何よりも大切にするものとして、憲法の第一に「和」を上げました。「山が戸のようにならぶ」現在の奈良県を「山戸」ではなく「大和」と書くようになったのは、このあとです。そして「和」は「日本」と同じ意味でも使われるようになりました。
 みなさんは「和が大切」と言ってしまうと、すべてが解決されたような気になってしまうことがありませんか。対立するものがあると、勝敗を争うより「たして2で割る」ほうがいいことのように考えることはありませんか。まんがの遊戯王(YUGIOH)カードには「融合」というカードがあります。決められた二つのカードと融合カードがそろうと、さらに強いカードを手に入れることができます。流行の「KY」も「和」を貴(とうと)ぶ日本の伝統そのものです。
 きょうの科学は「水溶液」です。物質が水に溶けると新しい性質が生まれ、水溶液同士をまぜると、また新たな変化が起こります。「水に溶ける」って何か、じっくりと勉強しましょう。

学習漫画 日本の伝記 聖徳太子 法隆寺をたてた政治家


<今週の学習と宿題>
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