故郷

甲子園の土

初めてアメリカに来た時、母がスーツケースにそっと入れてくれた柿の実を空港の入国検査で捨てさせられました。知らなかったとはいえ、母の真心まで捨てられたような悔しい思いをしたアメリカ生活第一日でした。 昭和33年(1958)、日本中の心ある人が、もっと…

母の日

来週5月13日(土)、学級懇談会があります。母の日の前日です。皆さんのご両親が、皆さんのために学校に来てくれます。 私の母は、悲しいことがあると、よく、近所の饅頭(まんじゅう)屋におぶって連れて行ってくれました。このごろだと、かしわもちがガラスケ…

全国標準学力テスト

全国標準学力テスト(NRTテスト)、どうでしたか。 過去の高校入試問題を勉強していると、見おぼえのある絵がありました。問題は、道しるべの指す「右 京・左 大坂」の「京」はどの方向かという、簡単なものでしたが‥。形といい文字といい、日本で毎日見…

つくしとり

ぼくが生まれ育った町の東の山は、孟宗竹(もうそちく)でおおわれた「たけのこ山」でした。はれの日に、遠くの山がかすみはじめると、ときおり、なまぐさい竹の芽のにおいが風に乗っておりてきて、春を告げます。田んぼの土がレンゲソウの葉の緑でおおわれてく…

努力をおしんだ日もある

親にしかられた時、きまって、「おまえは土橋(どばし)の下で落ちていた子だ。」と言われた。そんな、と思って人に聞いても、みんなそうだと言うので、のぞきに行ったこともある。土橋の下は、底まで石垣でかためられた深い川だ。昼でも日がささず、ごみがた…

うらやましい

小さい時から、家の中より外で遊ぶのが好きでしたが、速く走るのは大の苦手(にがて)でした。 ところが、小学6年になると、5年から担任だった先生に、うまく乗せられ、体育部に入(い)れられました。もともと体育部は「運動神経の発達した」子たちが入る部で、…

節分の豆の数

節分には、鬼よけに、いわしの頭のついた串(くし)と、ひいらぎを門口(かどぐち)にさすので(写真上)、夕食はいつもいわしの煮物でした。炒(い)った豆を真っ暗な神社にそなえに行ったあと、門口から見えない鬼に向かって「鬼は外、福は内」と、となえながら…

書初め

書道上達のひけつは、奈良の飛鳥あたりに行って、小正月(こしょうがつ)の「おおどんど」の火に1年間書きためた習字をくべることです。 この日、ぼくの里(さと)では「新池の地蔵さん」の前で、しめ縄などを燃やす「とんど」をしました。長いくしの先にもちを1つさし…

あけましておめでとうございます

今年は、去年にもまして、いい年になりますように。 きょうはつきたてのもちをいただいて、お正月らしい昼食でしたね。 日本にいたときは、12月30日がもちつきで、その日は、朝昼晩とも「もち」づくしでした。明くる大晦日(おおみそか)は年越しそば、元日と…

お正月

子供のころ覚えた唯一の民謡らしきものにこんな歌がありました。 しょうがつ きたら なに うれし ゆき みたいな まま たべて わるき みたいな とと たべて こたつに はいって ねんねこしょ 「ゆきみたいな まま」は、真っ白なごはんのことです。多くの人は、…

春日若宮のおんまつり

来週はもう17日。12月17日といえば、奈良の春日若宮(かすがわかみや)の「おんまつり」。いくら暖かくても、この日は必ず刺すように寒くなるのが約束だ。 5歳の時、「おんまつり」のお渡りを初めて見た。行列が続く中で、2人でかついでいる5メートルほどの…